雑草わんだほー

That's so wonderful♪

理想的なゲームの読み手

となりの関くん』2巻を読みました。どういうお話かと言いますと、学校の授業中に関くんが



のような高度な一人遊びに興じているのに対し、隣席の横井さんが心の中でツッコミを入れる。――そんな構図がひたすら繰りかえされるマンガなのですが、これが実に面白い。空想癖のある人間としては、リミテッドな環境下であろうと想像力というものはこんなにも自由に発揮することができるんだと、もっと日々の隙間に空想の研鑽を積んでいかなければと、畏敬の念を抱かざるをえません。いや本気でっ。


さて、このマンガの面白さというのは。関くんの独創的な一人遊びはさることながら、そこにロマンチックなストーリーを重ねていく横井さんの読みに支えられているところが大きいのですよね。創作を志す身としては、これは本当に理想的な関係だなぁと思います。
作り手というのは、想定した文脈に誘導するため色々と演出を加えていくわけですが、それを適切に読みとってくれる存在がいるということがどれほど心強いか。そして横井さんはそれだけに留まらず、遊びごとに変わる独自ルールに則って、ときどき協力したり反撃を試みたりもしてくれるわけです。つまり作品の芯をきっちり踏まえた上で、作り手が思いも寄らなかった反応をしてくれる読み手ということで、これはもう羨ましくて悶えるしかないわけで……!
さらに2巻に入ると、そんな関くんと横井さんの絆を分かりやすく誤読する新キャラが現れてきたりして、この先どこまで静かながらに熱い視線の網が広がっていくのか楽しみであります。


ところで、こういう関係性の構図を意識すると個人的には、『うみねこのなく頃に』のベアトリーチェと戦人を思いださずにはいられません。
あれは相当に捻れていますが、ひどく意地の悪い謎に挑んでみせろと煽るゲームマスターに幾度なく騙されながらも立ちあがりつづける主人公、というのはやはり理想的なプレイヤー像なのですよね。おそらくは、『ひぐらしのなく頃に』で沢山のファンを獲得しながらもその期待をコントロールしそこねた、竜騎士07さんの。
……とここまで書いてみて、自分自身にも思い当たることがあり以下略なのですが。えーと、その、いずれ私も理想的な何かを築けたらなぁと思うこの日頃です。